あの雲がおとした雨にぬれてゐる




(「あの雲がおとした雨にぬれてゐる」・10×14.8cm・2009)


*


山頭火の句に初めてであったとき、
一瞬、奇をてらってるのかと思った。
それほどにインパクトがあった。

でも口に出してみるとリズムが心地良い。

書いてみると、文字の並びも、漢字とかなの配分もなぜか優しい。

一瞬で人を惹きつける力と、
奥行きの深さとを同居させるのは
並大抵のことではないと常々思う。


「あの雲がおとした雨にぬれてゐる」


自分に降りかかってくる雨粒の一つ一つまで
愛おしく輪郭が現れてくるような句。




*



「あの雲。」

そうつぶやいてしまうような紙があった。
その時に思い出した山頭火の句。

私の中で小さな出会いが生まれた瞬間だったのだと思う。

Atelierすゞり

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