「山の椿」

(「山の椿」・第30回 読売書法展・60×180cm・2013)山なれど籠に養ふ鳥のごと羽まろくして立つ椿かな  与謝野晶子***万葉の昔から、椿はその深い緑の葉の豊かにつややかな様を愛でられてきました。後の世ではその花の美しさを愛でることが多くなるようですが椿は、その葉のつややかなこと、その花の鮮やかなこと、山にあって周りの木々とは異質な美しさを備え、日本人に長く愛され続けてきた木であることは間違いありません。山なれど。この歌の要は此処だろうと思います。山にあって、山のものではないような異質な美しさ。晶子は椿の美しさをそう歌ったのだと思います。

Atelierすゞり

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