碧い小袱紗
祖母の百日祭を終えました。
亡くなって百日目の祭祀です。
うちは神道なので"忌"の概念ではなく、
亡くなってからの節目節目に"祭"を執り行います。
祖母は祖母の名前で神様として祀られ、
私たちは手を合わせ、祝詞をとなえます。
いわゆる、「宗教」という話はよく分かりません。
ただ、昔から日本人が行ってきたそれをなぞるように
私もまた手を合わせているのだと思っています。
*
祖母の遺品の中から、
碧い小袱紗が出てきました。
箱もなく、どんなものなのか何の文様なのかもよく分かりませんが
螺鈿の色のような碧い小袱紗です。
小袱紗は主に、お茶の時に使うもので、
懐紙や使い袱紗とともに着物の胸元に入れておきます。
実は、楚々としてお茶を嗜むような性格の祖母ではなかったので
茶道具一式が出てきたときには
ずいぶん驚いた覚えがあります。
でも今、茶室に入る前、碧い小袱紗を入れた胸元をそっと押さえると
以前はお茶とはとても結びつかなかった祖母のことを思い出したりするのです。
くすっと笑うようなことばかりですが。
祭祀の時とは違うけれど
手を合わせ、祝詞をあげるのに似通った何かが、
その一瞬にあるような気がしてなりません。
そして胸元の小袱紗は
何かのお守りのような気がするのです。
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