「サイダーの泡立ちて消ゆ夏の月」




(「サイダーの泡立ちて消ゆ夏の月」・51×33cm(本紙)軸装・個人蔵・2010)


*



サイダーの泡立ちて消ゆ夏の月     山頭火



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水の中に無数の泡が浮かぶようなブルーの紙に出会う。




墨を落とす。

うん。やや滲みが強い。

しゅわっと水を受けたようなクセのある滲みかた。



そして、山頭火の句。

山頭火とは思わなかった意外な一句。


「消ゆ」のは、サイダーの泡なのか。

それとも夏の月なのか。


ひたすらに筆を動かしていると

夏の月がしゅわっと音を立てて消えてしまうような

幻想に引き込まれる。


明るい夏の日差しを連想しやすい"サイダー"の語が

夏の月と連なることによって

少し不思議で童話的な雰囲気すら感じた一句。



*



床の間ではなく、玄関にというオーダーでしたので、

少し洒落感のある雰囲気に。


見て、読めて、楽しい調和体を使い、

かなの散らし書きを応用した空間構成で軽やかに。


表装は白色と水色の糸で織り上げられた紬の生地をベースに、

サイダーの語に合うような

レトロな古布で上下の一文字を。

軸先はクリアな淡水色の陶器を使い、

サイダーの一服を

夏らしい一幅で。



…なんて。




Atelierすゞり

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