「月も花もなくなつてしまつた」
「月も花もなくなつてしまつた」(中勘助 『銀の匙』)
『銀の匙』は、美しい短編小説です。
どのページを開けて、どの行を指差しても、
そこがまるで一篇の詩であるかのような。
初めて読んだ時、一文一文にいちいちうっとりしてたら、
読むのにすごい時間がかかった作品(笑)
主人公の家に、美しい姉様が数日間滞在した時のこと。
お気に入りの庭の花壇に立って月を見上げていたら、
その姉様も庭へ降りてきます。
その途端、「月も花もなくなつてしまつた」と。
「姉様に見惚れてしまつた」ではなく、
「姉様以外見えなくなった」ではなく、
「月も花もなくなつてしまつた」という、
その日本語力。
奇をてらわないのに、印象深い。
日本語とはかくも美しいものだったかと唸ります。
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📕中村文美展【琥珀の文箱に文字を集めて 】📕
1/31〜2/11〈2/3・4・11在廊〉※月火(2/5・6)休廊
11:00〜19:00(最終日18:00)
Cafe & Atelier Z
(〒700-0845 岡山市南区浜野2-1-35)
http://cafez.jp/
📚ギャラリー・トーク📚
2/3(土)15:00〜16:00(この日に来てね)
参加費 : 無料(要予約)
準備物 : 筆ペン
ご予約 : 086-263-8988(カフェZ)
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