和田竜『村上海賊の娘』

泣く子も黙る"村上水軍"、といえばわが地元の話。この本は話題に上ってから「おー、読まなきゃね」と思っていました。ちょっと遅くなったけれど。
村上海賊の娘(上巻)
著者:和田竜
価格:1,728円(税込、送料込)
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私の小学校時代の通学路には"光照寺"という大きなお寺があって、時々画板を抱えて絵を描きに行ったものだけど、そこが浄土真宗の一大拠点であり、この小説にも出てくる重要な寺であり、故郷沼隈がそういう土地柄なのだと知ったのはずいぶんと大人になってからでした。なんか近所に寺多いなーとは思ってたけど。やっぱり、知ってる場所、とくに近所が小説に出てくると興奮するものです。さて。主人公は村上水軍の景(きょう)姫。その姫に対峙するのは眞鍋水軍の七五三兵衛(しめのひょうえ)。なんだか人物の描き方が随分漫画チックでとまどったし、その割に途中で史実の出典だの文献だの云々が「これ"注"扱いくらいにしたらいいのに・・・」と思う感じでちょっと邪魔だったけど、刮目するのは、"海賊同士の思考"というか「本気で殺しあう」ということが、「相手を尊重し、認め、惚れる」ということとほぼイコールなのだと読み手に納得させてしまう部分。この小説に登場する人たちは海賊だけにほぼほぼ終始殺し合いしてるんだけども、その人物達には血が騒ぐような「生命」が感じられるのです。命が濃い。というべきか。そうそう、登場人物の七五三兵衛(しめのひょうえ)が特にそうですが何か大変なことに直面したときに"呵々大笑"できるというのも私にとっては普段から目標とし、憧れるスタンス。こういう胸のすくような人間を描く小説って悪くない。個人的には、小説が良かったかどうかを判断する上で最も大きなウエイトを占めているのは「人が生きている」ということが如何に感じられるかなので、細かいことはさておき、"読んでて血が騒いだ"というだけで、作家の勝利だなーと思うのです(笑)***余談ですが。
この5月からうちの近所で就航する水上飛行機の待合いロビーにオープン前こっそり入れてもらいました。なんと、村上水軍の本拠地、能島・来島・因島を周遊してくれるんですって!まさに海賊気分!うわー!血が騒ぐ!一回のフライトが2~3万。うわー、ちょっと考える(笑)

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