「平家物語和歌抄」
(「平家物語和歌抄」・28×20cm×28枚・2016)***あり明の月も明石の浦風に浪ばかりこそよるとみえしか(他 27首 『平家物語』より)***ふるさとの平家谷にちなんで、『平家物語』より和歌を抜粋して作品にしました。師・岡嶋華笠先生のもとで、こつこつと続けてきたことがあります。お稽古の度に私が和歌一首を構成していきそれを師匠がアドバイスを下さりながら折帖に認めてくださる。その繰り返しで、毎回一首ずつ構成の勉強を積み上げていくというもの。一年で30首ほどになるその練習を毎年続けてきたことがこの作品の基礎になっています。もちろん、今回の作品は魁星作品のための新作ですがそのお稽古が無ければ、書きたいと思うものを形にすることはできなかったかもしれません。学生時代、初めての古筆臨書は師に倣って『関戸本古今和歌集』でした。そしてそれは今も一番近くに置いている古筆です。ともすると痩せてしまう自身の線質に厚みを持たせるためにも、作品づくりの途中途中で臨書を繰り返します。また、散らし方については三色紙も参考にしています。二十八枚の構成にバリエーションを持たせること、但しそれが過剰な変化にならぬこと、そして歌句に対して無理のない書き方であることに留意しました。
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