「竹生島」

(「竹生島」・35×136cm・2014)緑樹影沈んで魚木に登る氣色あり月海上に浮かんでハ兎も波を奔るか面白の島の景色や(謡曲「竹生島」より)***波に兎。そして月。日本人に愛されてきたその取り合わせは謡曲「竹生島」の一節に端を発するとも言われます。日本の歴史に古くから登場する兎たちはなぜかいつもユーモラス。ユーモラスであることがチープであることにならないように、散文ではない"謡曲"というものの持つ独特のリズム感が文字や絵にも反映できたらと思って書いた作品です。*一枚一枚金箔を貼り、岩絵の具を乗せて波を描き、胡粉の柔らかさで兎を描き、銀箔と岩絵の具で月を浮かべ、そして、竹生島の一節を認めました。一つ一つの手間が、手間がかかるというそのことが、美しいものを目指す道のりの遠さが、作品を作る喜びそのもの。

Atelierすゞり

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