「舞衣」

(「舞衣」・本紙1.75×7.5尺・第35回 柏葉会記念展・2013)***舞ごろも五たり紅(あけ)の草履して川原に出でぬ千鳥のなかに扇ふたつ胡蝶のさまに夕闇の中を寄りきぬ灯のあづま屋に(与謝野晶子『舞姫』より)***与謝野晶子の歌集『舞姫』より、二首を。草履の紅は初々しい少女たちの色。読み手をどきりとさせる鮮やかな色。晶子の詠む紅は、鮮烈で、でもイヤな粘り気がない。二首を並べると、舞衣、紅、草履、千鳥、扇、胡蝶、夕闇、灯・・・晶子らしい艶やかなキーワードがストーリーを成すように次々現れます。これだけ盛りだくさんでも、えぐみが出ないのは晶子の手柄というべきでしょうか。***紅色が瞼の裏に残像として残るような歌を明るい紅色の紙に。但し、歌のイメージはあくまで爽やかさを失わないよう、表具は織り模様のみ入った純白で。ごく細く、若葉色の筋回しをきりりと効かせて。

Atelierすゞり

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