おめでとうの言葉を繋ぐ
きっとどんな賞でも、自分一人の力で取れるものなどないのだと思います。大学に入ってすぐ、師・岡嶋先生の所に通い始めてまさに「いろは」の「い」から教わったことを思い出します。正直なところ、当時の私に「かな書道」という意識も将来、書道を仕事にするという思いもほとんどなく、大好きな「お稽古事」に夢中になっているだけでした。10級から一つずつ一つずつ級を重ね、段を重ね、ただただ先生が褒めてくださるのが嬉しくて、ただただ書くことが楽しくて、続けていたように思います。いろんな考え方があると思いますが、私にとって「賞」というのは狙って取りに行くというよりも、努力をすることが習慣となり、習慣が少しずつ実力へと変わり、その実力を少しずつでも丁寧に積み上げることが出来たなら、その時に初めて岡嶋先生からあの朗らかな声で「おめでとう」と告げてもらえるものという思いがあって、その感覚は昔から今に至るまで変わらない気がします。昨年に続き、読売書法展の特選を受賞することが出来ました。昨年に続き、岡嶋先生の「おめでとう」をもらえました。「自慢の娘だもの。」そう笑ってくださったときに、目の奥がちょっとジンとして、嬉しさが実感になりました。昔よりも思いの増えたこともあります。私自身、弟子を取るようになって、私がゆったりと書道を好きでいられるためにどれだけ岡嶋先生が力を尽くしてくださっていたのかを身を以て知るようになりました。知ったからこその感謝の思いが増えました。そして、弟子たちへの思いも増えました。今年、私の弟子が3人、読売書法展に初入選を果たしました。岡嶋先生が私にそうしてくださったように私もまた、弟子たちに朗らかな「おめでとう」を伝えたいと思います。
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