揚羽蝶紋落款印
(揚羽蝶紋落款印・38×22mm・2010)
地を這いながら、
どれほどに空を夢見ていたのだろう。
どれほど思いが強ければ
あれほど大きな羽を手に入れられるのだろう。
あの体のどこに
空へ向かう力を秘めていたのだろう。
*
日本でも奈良時代にはすでに文様として
現れていたという蝶紋。
その華やかさもさることながら
再生・変化・不老不死の象徴として
好まれてきた歴史を持つ。
篆刻に日本の伝統文様を取り入れてみた作品。
蝶一つ留まる書作があってもいいのではないかしらと。
*
そういえば、平家の家紋も蝶だという。
今でも落人の里にひっそり伝わるという蝶の文様。
蝶の華やかさとはうらはらに
いや
その不可思議な華やかさゆえにというべきか、
落人の里に息を潜める蝶の姿は
蝶に惹かれる人の思いと相まって
あまりにも魅惑的に思える。
幼い頃遊んだあの谷にも、
蝶の紋は隠れているのだろうか。
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