籠人ゆかし
(「芭蕉四季句〈春〉」・和処なかくし蔵・2009)
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春の夜や籠人ゆかし堂の隅 芭蕉
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芭蕉四季句連作のうち、春の作品。
夜桜を思わせる着物地と芭蕉の句を取り合わせて
額作品に仕立てました。
句に花という言葉は出てこないけれど、
なぜか私はこの句の背景に
夜桜のその花弁を思います。
堂の内の籠人(こもりど)はその花を目にしてはいないでしょう。
ただ、
「すべて、月・花をば、さのみ目にて見るものかは。」
徒然草にもかく言うように
春の夜の鈍い闇の中に白く浮かぶ花弁を
籠人もまた感じているかもしれません。
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