"Du bist wie eine Blume"
筆文字工房すヾり史上、最大級のフルオーダー書作品を
6/4に搬入してきました。
完成品サイズは190×20×5cm。
それを計3本。
以前の日記にも書いたけれど(→1・2)、
今回の作品は、本当にゆったりと半年近い時間をもらって、
構想を練り、デザインを考え、文字を書き上げていくという
贅沢な作り方をさせてもらったもの。
せっかくこの場所に飾りたい、というフルオーダーならば
適当な作品を「ほい。」と渡したのではおもしろくない。
その場所のために、作る。
その場所だから、生きる。
その場所で、愛される。
そんな作品が作りたいなぁと思った。
店の名前が"leben:(レーベン)"というドイツ語。
なら、店の名にちなんでドイツの詩人の詩はどうだろう。
そう考えて本をめくり、選んだのは、ハインリヒ・ハイネの詩。
"Du bist wie eine Blume"
Heinrich Heine
Du bist wie eine Blume,
So hold und schön und rein;
Ich schau dich an, und Wehmut
Schleicht mir ins Herz hinein.
Mir ist, als ob ich die Hände
Aufs Haupt dir legen sollt,
Betend, daß Gott dich erhalte
So rein und schön und hold.
ドイツを代表する詩人・Heinrich Heine(ハインリヒ・ハイネ)の、
"Du bist wie eine Blume"。
この詩は、ハイネの詩の中でも最も有名な一篇といってよく、
日本でも上田敏らの訳詩によって、広く知られるようになったもの。
ここに訳を付す意味も込めて、上田敏の訳詩を挙げると以下の通り。
「花のをとめ」 訳詩:上田敏
妙(たへ)に清らの、あゝ、わが兒(こ)よ、
つくづく見れば、そゞろ、あはれ、
かしらや撫でゝ、花の身の、
いつまでも、かくは清らなれと、
いつまでも、かくは妙にあれと、
いのらまし、花のわがめぐしご。
上記「花のをとめ」を収録した、上田敏の訳詩集『海潮音』が上梓されたのは明治38年。
"Du bist wie eine Blume"は西洋の文化を急速な勢いで吸収しつつあった日本に
非常に大きな影響を与えた詩。一大ブームを巻き起こしたと言っても過言ではない。
その詩の「いつまでも美しく清らかであってほしい」という内容も、
美容という場、Leben:という店の思いにもぴったりくるような気がして。
そうして書きあげる内容を練っているのとほぼ同時に出会ったのが、
土佐の紙作家・藤原正彦さんの手漉き和紙。
185×15cmというイレギュラーな寸法も、独特の紙の質感も、
見た瞬間に「あ、私、これ探してたんだ!」と思えるほど、ストライク。
(↑台紙として使っているベージュの手漉き和紙ね。)
内容と、材料とが揃った瞬間から、
急速な勢いで作品イメージが固まっていく。
ベースになる紙の雰囲気に合わせて、
文字を白、周囲を黒にした白黒反転の書き方。
浮かしを2段階にかけてもらう。
いわゆる書道用の額に納めるのは絶対イメージがずれると思ったので、
アクリルケースを特注で作ってもらった。
搬入作業を見守りながら、
こういう作品制作のチャンスを与えてくれたLeben:のオーナーや、
私のほんっっっっとに面倒くさい細かい注文を快く聞いてくださった業者さんに
感謝の気持ちでいっぱいでした。
私一人じゃ、決して生まれなかった作品だもの。
Leben:の壁に収められた作品、
ぜひぜひ、見に行ってください。
「中村さんが見に行けって言った」とか勝手に名前出していいから(笑)
ちなみに、Leben:(レーベン)はこちら。
福山市三吉町南1-11-20 TEL:084-928-4881
http://www.chugoku-sagasite.com/shop900/987.html
ここ、オーナーの腕も、確かよ。ほんとに。うん。
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