金魚ひらひら -筆文字うちわ「金魚」-




 月はいきするたびごとに

 あのやはらかな、なつかしい

 月のひかりを吐くのです。


 花はいきするたびごとに

 あのきよらかな、かぐはしい

 花のにほいをはくのです。


 金魚はいきするたびごとに

 あのお噺の継子(まゝこ)のやうに

 きれいな寶玉(たま)をはくのです。


            ( 金子みすゞ「金魚」)


筆文字うちわ、三連作(笑)
今度は金魚。



ぷくりぷくりと泡をはいて、
ひらひら泳ぐ可愛い金魚。

筆の動きもひらひらと。

北原白秋、西條八十、金子みすゞなどの詩、
また、夏目漱石の「夢十夜」などの影響だろうか。
私にとって金魚のイメージは可憐であると同時に、
ノスタルジックだったり、淋しげだったりもする。

今回のうちわは、可憐なイメージで仕上げたかったので、
淋しさなどを織り込むことはないけれど、
金魚は、色んなイメージを重層的に持っているモチーフなので
書いていて面白い。


出来上がったうちわを持って、扇いでみたらどうだろう。
金魚のようにひらひらと。



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