岡山芸術交流2016

岡山では日本最大級の芸術祭「瀬戸内芸術祭」だけじゃなく「岡山芸術交流」というイベントもあったりします。http://www.okayamaartsummit.jp/国内外のビッグネームを招致して、町中がアートだらけになるという、なんとも壮大なイベント。そういうイベントを支援してくれる企業が多い都市っていいな。以前、「Imagineering OKAYAMA ART PROJECT(イマジニアリング)」というのがあって、http://ayasuzuriblog.blog.fc2.com/blog-entry-820.htmlそれもすごかったんだよ。
今回は映像作品が多かったのもあって、あまり作品写真はありません。(わたしにとっては映像ジャンルちょっと難しいんですよねー)ただ、もの作りの端くれとしては、正直、被写体やモチーフをズームやトリミングしてそれを見せ方の主体にするというのはそれっぽく見せるには割と簡単だなという感覚があって、それよりは、工芸であれ、絵画であれ、インスタレーションであれ、物語性のあるものが好みです。そしてバックボーンに文学(聖書や古代の記録なども含めて)が感じられるものが好き。個人的にはサルの映像とタコの映像がすごかったなーと。サル対タコの一騎打ち。(※サルとタコは別映像ですよ。)サルの映像、というのは、ピエール・ユイグの作品。能面に着想を得て、面を着けたサルを撮影したもの。能を見たことのある人なら分かると思いますが、能面というのはその動きによって、角度によって、光によって同じものとは思えぬ表情の変化を見せます。それを付けたサルもまた、形を変えぬ面のはずなのに悲しみ、とまどい、焦り、驚き、落胆・・・様々な表情を見せるのです。変化のないはずの顔。その顔を付けた人ではないもの。それがあまりに人間らしい感情や表情を伴って見える。それは、人間というもののことを逆に考えるきっかけの様な映像でした。何を以て、人は人たり得るのだろう、と。
そして、タコの映像というのは下津井のタコに着想を得た、荒木悠の作品。
これからタコ食べる時「これ悪魔が化けてるのかな」とか思いそう。タコ映像のバックボーンになってる芥川龍之介の『煙草と悪魔』読もうっと。   *そうそう、会場の一つとなってるオリエント美術館に、保育所〜小学校低学年くらいの係員のタグ提げた男の子たちがいて、「ゴールドバーグさんはとっても怖がりだったんですよ!でも、怖いものをこうして形にすることで、怖くなくなったのです!」って流暢に可愛く解説してくれてたのが一番のヒット。有能なるちびっこ解説員諸君、君たちと一緒にアートの旅がしたいよ、わたしは(笑)
(これはアーティストが中学生達とともに制作したアート作品の一部。わかるわかる。そのきもち。笑)  ***私にとってこういう現代アートと呼ばれる表現は活動に必要な栄養分みたいなもの。インプットもアウトプットも。伝統はもちろん大切だと思っています。ですが、新しい表現方法に触れることやその刺激を求めることをしなくなったらそれは表現する者としての鈍化であり老化なのではないかとどこかで思っているから。

Atelierすゞり

美しい文字を。 美しい時間を。 美しい空間を。 The official website of Ayami NAKAMURA  [Atelier Suzuri]