夏目漱石『硝子戸の中』

- 小さい私と廣い世の中とを隔離してゐる此硝子戸の中へ時々人が入つて來る -漱石の晩年の作『硝子戸の中』。人に勧めたみたいなのだけど、そんなこと言ったっけー?びっくりするくらい、1mmも記憶にないので、反省の意味で読み直し。 ***何うやら私は此本を人に勸めた樣なのだが、其事自體、ちつとも記憶に無いのだから始末が惡い。仕方が無いので、何故勸めたのか考へ乍ら讀み直す事にした。(漱石ごっこ。笑) ***今年は漱石歿後百年。昔の本は装丁もステキ。何となく、中勘助『銀の匙』とどこかしら相通じる雰囲気がある気がするのです。別段、特別な状況でもない日常のことを書くというのは実はとても作品になりづらいのに、その日常や普通であることを、柔らかく美しく淡々と綴って読ませるというのは本当の筆力だなぁと思うのです。(素人がやるとケガするやつです。笑)

Atelierすゞり

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