山岡荘八『柳生石舟斎』

前回、読書会の幹事さんが指定してきた本が、山岡荘八の『柳生石舟斎』。柳生新陰流の開祖、柳生宗厳(むねよし)の小説。
柳生石舟斎 (山岡荘八歴史文庫)ちょっとね、文章に「男のロマン」みたいなのが臭うのが惜しいというか。ほら、話してる本人が感動して先に泣いちゃうから聞いてる方が泣けないみたいな、そういうのあるでしょう?あんな感じ(笑)せめて井上靖くらいには淡々としていてほしかったんだけどそれはしょうがないのかなぁ。広い心でロマンチストのおじさんをそっとして置いてあげるとして。私は小さいときから、表に出す出さないは別だけど白黒はっきりしないと納得いかないところがある。(だから書道が好きとか、そういうオチではない。)だからどうも清濁併せ呑むみたいなことがストレスになるのだと思う。柳生石舟斎が言うところの「斬らずに活かす」、という思考は、敢えて「濁」を呑まないという方向で、別の問題解決能力を発揮することが可能なのじゃないか、という示唆にも受け取れる。個人的にはそれがさらりとできるようになればいいのになぁと思うところ。そういう目線で読める小説でした。そうそう、山岡荘八といえば、私にとってはちょっと特別。私がおなかの中にいるときにうちの母が読んでたのが山岡荘八の『徳川家康』だと聞いてそれ読みたいなーって言ったら「それまだ、うちにあるわよ」、と母。書庫に取りに行って、ちょっと腰が引けた。
徳川家康 文庫 全26巻 完結セット (山岡荘八歴史文庫)どどーんと連なる全26巻。母、どうかしている。ううーん。そりゃ、このボリューム感、産休中にはもってこいかもしれんが。もっと時間かかるかなぁと思ったら思いの外ぐんぐん読めたし、これで私は育ったんかぁと感慨深かった。(一寸違う気がする。)道理で基本おじさんぽい好みになるわなー、私。(それも一寸違う気がする。)作品としては『柳生石舟斎』より『徳川家康』の方がダントツいいと思うのですがオススメするのに躊躇する冊数・・・(笑)ちなみに、私には2つ下の弟がいるんだけど、そっちがおなかにいるときはずっと植田まさしの四コマ漫画(コボちゃんとか)読んでたらしい。母の読書傾向のその極端な振れ巾がすごいと思う。弟よ、道理で・・・・・・・・(笑)

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