「琳派 京を彩る」

本阿弥光悦と俵屋宗達の夢の合作三十六歌仙。これ見たくて、ふらっと京都日帰りしてしまいました。実はうちの美術書の書架に、原寸フルカラーの写真があって、いいなあと憧れてた作品なのですが、なにぶんその画集に出てるのは一部分。だーっと巻子全体を開いて見せてもらえるなんて、チャンスだもの。もうね、ガラスに貼り付いてじっくり二往復。自分が普段使わないかな文字が使ってあったりするのも面白いし、肉厚で男っぽく且つしなやかな線質も見応えがあったのだけど、何より 東路のさやの中山なかなかに何しか人を思ひそめけん (紀友則)の表記が「おも日そめ劔」という"劔(つるぎ)"の当て字になってるのを見つけたときには、思わず、「あぁ!光悦だけに!」って口に出してました。本阿弥家といえば刀剣の研ぎ・目利きの家だというのは当時から周知のこと。その光悦が選び取った「劔」の字。もう、これはきっと、確信犯。直に会いに来たから分かった、発見。見つけた時の、小さな震え。周りの人たちが「読めないわぁ」とぼやきながら通り過ぎていく中で、挙動不審の私はたぶん、ちょっと変な人だったと思うけど・・・( ;´Д`)でも、宗達の絵も、光悦の書も、どちらも楽しめるのは、学んできたことへのご褒美かな。酒井抱一の「夏秋草図屏風」と「四季花鳥図巻」という憧れてやまない作品も陳列されていて、その絵の具の質感や厚みまで感じられたのがとても幸せなことでした。展覧会は、京都国立博物館で2015年10月10日(土)~11月23日(月・祝)必見です。

Atelierすゞり

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