アニッシュ・カプーア

いろいろ友達と都合を合わせようと相談したけど、どうしても全員でとなると1日しか一致しない。目指すは金沢21世紀美術館。片道4時間。・・・・・うーん、悩んだあげくに日帰り決行。どうしても行きたかったところだし、見たかった作品も多いし、書きたいことはいろいろあるのだけど、敢えてひとつに絞りましょう。 これは、いろいろ人によって好みも別れるところだと 思うんですが、やっぱり、私にとってはカプーア。 アニッシュ・カプーアの《世界の起源》2004です。 斜めに作られた壁面に、楕円形の黒い暗い穴が空いている。 穴は穴なのだけど、これは本当に奥行きが掴めない。 あるいは平面にも見えてしまう。 色も、黒いんだけど、実は深い群青だと、係りの人が言う。 私にとっては、色としての「黒」というより、 光としての「陰」っていう感覚に近い。 色彩と言うより、明度。 限りなく低い明度を作り出す術を作者は知ってる。きっと。 しゃがんでみると、真円に近くなり、 立ってみると、そこに引き込まれそうな気がする。 後ろの壁も天上に行くほどせり出していて、 吸い込まれそうな感覚を増幅している気がした。 バランスがね、知らず知らず前へ傾くから。 やっぱりね、インドの人なんですよ。カプーアって。 世界で初めてゼロを発見した民族。 無というものが存在することを発見した民族の血かなと。 だから、納得。ちょっと勝手に確信に近い納得。 あれはね、色じゃない。群青とかそういうものじゃない。 色というのは物質とか物体とかに類するんです。 やっぱり陰なんです。陰はね、きっと無に通じるから。無はきっとゼロに通じるから。 無とかゼロが"存在"するんだというその感覚。 ああ、やられた。 ただ、もう、そんな感じ。もう一度来たいな。ここ。

Atelierすゞり

美しい文字を。 美しい時間を。 美しい空間を。 The official website of Ayami NAKAMURA  [Atelier Suzuri]