「高木聖鶴展~小野桂華遺墨展~道文展~三余会展」

岡山の師匠の所へ伺ってから、「高木聖鶴展」と「小野桂華遺墨展」、「道文展」、福山へ戻って「三余会展」。今日は書道三昧。展覧会のハシゴです。卒寿を過ぎてなお、勢いを増すような高木先生の書。かなのみにとどまらない教養の広さ深さがすごいなぁと思います。大字作品はもちろん、贅を凝らした華やかな作品にも、繊細な小作品にも、なんだろう、骨太な何かが通ってる感じ。「表現者」としての鼓動を感じる、故・桂華先生の作品。"瑞々しい"って、こういうことをいうのかなって思います。クラシカルなものは当然(膨大に)下地にあるけれど、桂華先生が作品として形にするのは、そこからきらきらと昇華させたもの、上澄みを掬い取ったものなのだと思います。昇華させる、あるいは上澄みを掬うために必要なツールこそが"鋭いセンス"なのかもしれないなと思う作品群でした。2度ほどご指導頂く機会があったのですけど、ご存命のうちに、もっとお話したかったなぁってそんな悔いが生まれます。古典臨書、創作、詩文の制作など、多彩さがいつも楽しみな道文会展。桂華先生の後を担う、小野玲華先生一門の展覧会は、自身で歌を詠むこと、それを自由な作品へ展開することをお弟子さんたち皆が取り組んでおられて、必ず「あ、ステキ」という趣向があって楽しめます。玲華先生の親子合作の屏風、色っぽかったな。原夢華さんの作品、あんな華奢な色白美人さんが書いたとは思えないくらい強い芯が通ってて良かったな。雅趣が感じられてステキな三余会展。笹波会ならではの料紙の華やかさ。臨書さえお洒落な作品に仕上げるセンスの良さ。自分が指導する上でのヒントもたくさんもらえる展覧会です。田頭一舟先生の作品、いつも楽しみなんですよね。いつぞやの読売展とか、今回の作品もそうだったけど、白の具引きの紙が上品で線のお洒落さが際だってました。白の質感に心を砕くというの、いいなぁと思います。ああ、一日でこれだけいっぺんにって頭の中が文字でパンクしそう。目眩がしそう。熱出そう。
(写真は、三余会の中室舟水先生の折帖。源氏物語の各帖を、多彩な構成で、色とりどりの料紙で。作品もご本人も、"雅(みやび)"そのもの。普段着は直衣とか狩衣だよ、きっと。)

Atelierすゞり

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