「しぐるゝや小笹がくれの藪柑子」

(「しぐるゝや小笹がくれの藪柑子」・葉書148×100mm・2013)*しぐるゝや小笹がくれの藪柑子  川端茅舎***冬の寒さの中で小さな小さな赤い実を付ける薮柑子。千両、万両はうちの庭にも植わっていて赤い実の感じが似ているとは思っていたけれど、薮柑子に「十両」というお揃いの別名があるということは知りませんでした。ちなみに、「百両」という植物もあって十両、百両、千両、万両、とちゃんとひと揃いになります。夢二の小兎も食べに来そうな赤い実は小笹の陰に隠れるように時雨に雨宿りするように。冷たい冬の、冷たい雨のその中で小さな赤は鮮やかで。それは小さなものの愛らしい姿。句という形になった「愛づ」という眼差し。

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