「一様に風にゆられて金魚かな」
(「金魚」・葉書148×100mm・2012)*一様に風にゆられて金魚かな 阿部みどり女***泳ぐという動きなのだろうか、あれは。いや、どうもそうとは思えない。ゆらゆらとして。ひらひらとして。だからなのか。金魚は「さかな」という感じがしない。金魚は、やはり、どうしたって「金魚」なのだと思う。だからほら。"風にゆられて"という言葉は、他のさかなたちには似合わない。たとえ熱帯魚でも。自らの力で水の中を進んでいるとはどうも思えない。きっと何かにゆられているのだ。どの金魚も。どの金魚も。ああ、自らの力を恃まないから、金魚はあんなにも涼しげなのだ、きっと。***今年の夏のお礼状は金魚の句にしました。落款に、小さな金魚を。ほんの少しの遊び心を加えるために、ぐっと変化を押さえた行書きの構成にして。…いや、でも金魚の細工が意外と手間で、金魚付きは数人分しかできないかも…あしからず。
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