雪の底で
私は海沿いの小さな盆地の底にいた。
海沿いの盆地というのは不思議な場所だ。
海の気配を感じながら、山しか見えぬ場所。
町中へ出るのもそう遠くないけれど、町の喧噪とは隔てられた場所。
そこにはぐるりと囲まれた土地があって、ぐるりと囲まれた空がある。
ぐるりと囲まれた丸い空からたくさんたくさん雪が降ってきて、
くるりと囲まれた丸い土地をだんだんだんだん埋め尽くしていく。
この丸い空の外でもやはり雪は降っているのだろうか。
雪がこの場所を埋め尽くして、
盆地が盆地でなくなって、
いつしかそのことすら忘れてしまったら、
世界は恐ろしいほど退屈な美しさを手に入れるだろうか。
そんなことを思いながら目を閉じたら、
私は私の形のまま結晶になっていく夢を見た。
海沿いの盆地というのは不思議な場所だ。
海の気配を感じながら、山しか見えぬ場所。
町中へ出るのもそう遠くないけれど、町の喧噪とは隔てられた場所。
そこにはぐるりと囲まれた土地があって、ぐるりと囲まれた空がある。
ぐるりと囲まれた丸い空からたくさんたくさん雪が降ってきて、
くるりと囲まれた丸い土地をだんだんだんだん埋め尽くしていく。
この丸い空の外でもやはり雪は降っているのだろうか。
雪がこの場所を埋め尽くして、
盆地が盆地でなくなって、
いつしかそのことすら忘れてしまったら、
世界は恐ろしいほど退屈な美しさを手に入れるだろうか。
そんなことを思いながら目を閉じたら、
私は私の形のまま結晶になっていく夢を見た。
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