【京都という場所。モダン枯山水。極上ランチ。そして上質の花見。】

:京都という場所。(ただの長い前置き。)

この日はちょこっと京都まで行ってきまして。
京都は大学の頃から年一回のペースで
ちょこちょこ出掛けてる好きな土地。

だいたい、京都行きには自分なりのテーマがあって、
例えば、文学だと
井上靖の『石庭』という詩だったり、
川端康成の『古都』だったり、
三島由紀夫の『金閣寺』だったり、
梶井基次郎の『檸檬』だったり、
紫式部『源氏物語』だったり。
要はその作品を読んで、その場所に行くというだけのこと。
ちょっとマニアックかもしれないけど、
そういうテーマがある旅は本当に楽しい。
別に必ずしも文学、というわけじゃなくて、
とにかく「テーマ」があるというのが肝なのだ。
同じものを見ても見方が変わるし、
同じものに接しても吸収率が違うから。

京都が好きな理由に、"テーマがたくさん見つかる"ということが
大きなウエイトを占めてるのは確かだと思う。

で、今回のテーマは"重森三玲"。

この人は日本庭園を語る上で避けては通れない
20世紀最大の作庭家の一人であり、
これまた20世紀最大の彫刻家イサム・ノグチに
石の釣り方、庭の作り方を教えた人。

去年、お世話になってるギャラリーのご主人が、
重森三玲の庭を見せてくださってから(個人所有なの、贅沢!)、
「庭」というものの概念ががらっと変わってしまった。
だから重森三玲の他の庭見たさに
ずっと京都行きは画策していた。

今回ようやく行くことができた京都、
目指すは東福寺と重森三玲邸。
本当は大徳寺や松尾大社も行きたかったのだけど、
日帰り強行のためやむを得ず。いつか行くのだ。
そうそう、重森三玲邸はきっと見たことある人も多いはず。
ほら、シャープのAQUOSのCMに使われてたあの庭です。


あ、そうそう、テーマのある旅に欠かせないのが「予習」。
実はこれが一番楽しいかもしれない。

もちろん、京都本や写真集も必要なのだけど、
今回苦労して手に入れたのは「Lの風景」というテレビ番組のVTR。
3月から4月にかけて重森三玲の特集を組んでいた
レクサス提供のこのオシャレ番組、
生意気にも首都圏でしか地上波放送はないのだ。…ケチ。
ただ、BSデジタルなら全国で見られるという。
でも。
我が家にそんな小洒落たシステムはまだ導入されてない。

というわけで、
友達をなだめてすかしておだてて持ち上げて
何とか5分ずつ5週間も録画してもらった「Lの風景」。
(いちおう短縮版ならネットでも見られます。)
ようやく手元にやって来たのは京都行きの前日だった。
ギリギリでどうにか予習も済んで、いざ京都。


Atelierすゞり

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